信頼できる仲間とつくるムサビの一大イベント

身動きがとれない2020年を経て、全てのコンテンツをオンラインで発信した2021年の芸術祭。バーチャル空間展示やECサイトと連携した作品販売などが話題となった「電脳都市・武龍(ムーロン)」をつくりあげた芸術祭実行委員会執行部のみなさんに運営の魅力を聞きました。

2021年度 武蔵野美術大学芸術祭実行委員会 執行部 
委員長 坂上小春さん(クリエイティブイノベーション学科3年)
副委員長 西谷寛南さん(日本画学科3年)
会計 清野珠央さん(クリエイティブイノベーション学科3年)


——みなさんが芸術祭実行委員会執行部(以下「執行部」)に参加したきっかけを教えてください。

坂上:高校の文化祭がすごく楽しかったという思い出があって、大学でもどうせやるならとにかくおもしろいことをやりたいと思っていたんです。1年の時の芸術祭で、構内のあらゆるところでいろんな人が楽しそうにしているのを見て、やっぱりムサビの芸術祭はすごいと思いました。

西谷:私は日本画学科ですがあまり他学科との接点がなく、デザイン系の人たちとも接する機会が得られないかなと思ってたときに執行部の説明会に参加したのがきっかけです。もともと私もイベント事が好きだったので、じゃあやってみようかなと。

清野:私が通っていた中学や高校では文化祭は学校主導で、運営に関わりたいと思ってもできませんでした。私はやるなら全力でがんばりたかったのと、運営側として携わりたいという思いがありました。ムサビに入って学生主体で文化祭をつくっていけるという話を聞き、自分がやりたかったことをここでできるかもしれないと思い入りました。

——芸術祭に関わるとしたら運営側のほかに出展者という選択肢もあると思いますが、運営の魅力ってなんだと思いますか?

坂上:ムサビの芸術祭は毎年テーマを決めてその世界観をみんなでつくっていきますが、テーマを決めてその世界観をつくるところから関われるというのは出展者とは違う運営の魅力だと思っています。

——2021年度のテーマは「電脳都市・武龍(ムーロン)」でしたね。初のオンライン芸術祭で3日間の全コンテンツをオンラインで発信し話題になっていました。みなさんは具体的にはどういう役割で活動されていましたか?

坂上:私は実行委員会の委員長を務めていました。本来はそれぞれの役割で仕事を各々進めていくのですが、みんなが初めての事態でわからないことだらけだったので、幹部にあたる委員長・副委員長・会計・書記の「四役」で一緒に仕事をすることが多かったですね。みんなで助け合いながら芸術祭の運営をしていったという感じだったと思います。対面での活動ができず執行部全体のオンラインでのコミュニケーションが難しかったので、四役に担当部署を振り分けて個別にそれぞれの部署と話をしながら進めていきました。

「飛び込んでみよう」というチャレンジ精神にあと押しされ、委員長として全体を統括した坂上さん。

——西谷さんも清野さんも「四役」ですが、それぞれどういう動機で役職に就いたのかをおしえてください。

西谷:私は副委員長を努めました。1年の時は広報部で制作をしていましたが、それを経て芸術祭がすごく好きになったし、組織運営自体に興味が湧いたんです。自分がつくったものを発表するよりも、全体的なことに関われる立場になりたいという思いがあり、2年から副委員長になりました

清野:私は1年生の頃から執行部のイベント部として携わり、2年になり会計職に就きました。お金を管理するというのは自分には荷が重かったですが、全体を見渡せて責任感を必要とする役割で、学生生活ではなかなかない機会だと思ってやることに決めました。あと坂上さんが同じ学科なんですが、私、坂上さんが大好きなんです(笑)。一緒に授業を受けるなかでかわいさとしっかりした面をとても感じて。その坂上さんが委員長をやると聞いて、坂上さんがいるんだったら私はがんばれるかもしれないって思ったし、何より楽しそうだなと。彼女が委員長だったらいい執行部になるし、すごくおもしろい芸術祭がつくれる気がしたんです。

会計役として、また幹部としての役割を果たした清野さん。

——プレッシャーもあるけどその分やりがいもあって、何よりそこに信頼できるメンバーがいるというのがいいですね。執行部の経験は今後どういう風に活かせると思いますか?

西谷:私は活動経験そのものが、今後の自信になってくれると思っています。執行部は芸術祭を通して、美大生と社会を繋ぐための場づくりをする組織です。私たちの代はコロナにすごく影響を受けて、これまで続いてきた芸術祭の歴史が途切れてしまうかもしれないという曲面にありました。しかし、それをオンラインという形で開催できたことで、過去の芸術祭からこれからの芸術祭への橋渡しができたと思っています。今までとは違うにしてもひとつの場をつくったこと、そして過去から未来へ芸術祭の伝統を繋ぐ架け橋のような存在になったことは、これまでの学生生活のなかでも、ほかには替えられない経験でした。このような経験を得られたことが、今後の人生において自分を支えてくれると思っています。

広報部での制作から全体の運営側へと転身し、副会長を務めた西谷さん。

清野:私は、執行部で本当にいろんな人と関わったことがこの活動の大きな収穫になりました。自分とは価値観の違う人と関わることも多くて、最初は全く理解できなかった考え方を受け入れるとか、まずはその人を丸ごと受け入れてみるという力はすごくついたと思っています。あと、会計はいろんな部署から「なぜそのアクションが必要なのか」という質問を受けることが多く、例年やってきたからという理由ではなく、今年の執行部でなぜそれをやるべきなのかを自分の言葉で答えられないといけない、というのをとても感じました。今後、社会に出てからもいろんな選択の場面があると思いますが、自分の行動にしっかり意味を持ちたいと思います。それをこの活動のなかで気づけたというのが、自分にとっては大きいことでした。

坂上:私はこの2年間で、忍耐力と行動力が自分にあるということがわかりました。対面の活動ができないなどたくさんの制約があるなかで、委員長として目標を定めて「一緒にがんばろう」とみんなに提示することが多かったように感じます。辛い状況でもここが楽しいからがんばれる、ここを楽しめればこのあともきっとうまくいく、というように問題にぶつかっても楽しいポイントを見つけてみんなでやり遂げたという経験は、今後の人生でも力になるんじゃないかなと思います。

——最後に新入生に向けて一言お願いします。

清野:美大では自分がつくりたいものをつくるとか表現するということは日々やると思いますが、誰かと一緒につくりあげていくという経験はあまりないかもしれません。人と一緒に活動するということは価値観や好みが違ったりして大変なところもありますが、それを経て得られるものはとても大きいです。その後の制作活動やプライベートな部分にも活かせるものがあると思います。1年生のうちは先輩たちのサポートとして芸術祭の裏側に関わることもできるので、もし少しでも迷っているならとりあえずやってみてほしいです。4月にはZoomで「執行部オンライン新歓」を開催しますので、興味のある方はぜひ話を聞きにきてほしいです。

西谷:執行部ではさまざまな学科の多様な人と関われるのがいちばんのメリットです。積極性が高い人が集まっているので、そこにいるだけでも得られる経験や刺激があります。なので、執行部に少しでも興味があるならまずは飛び込んでみて、チャレンジ精神を試す場にしてみるといいんじゃないかと思います。

坂上:運営側に入って芸術祭の世界観をつくれるというのは本当に大きいと思います。私たちは昨年初めてのオンライン芸術祭をつくりました。今後の芸術祭がどうなっていくかはまだわからないですが、これからの新しい試みに参加できるというのは大きなやりがいだし自信にもなると思います。その年の芸術祭はそのメンバーでないとつくれないし、あなたがいるからこそ成り立つ芸術祭になります。ムサビは普通に通うだけでも楽しいですが、それをもうちょっと楽しくしたいなら、執行部でがんばってみるのもありなんじゃないかなと思います。


【芸術祭実行委員会 執行部】
武蔵野美術大学の年に1度のBIGイベント「芸術祭」を企画運営する実行委員会。幹部と各部署(イベント・模擬部・展示部・デザイン部・広報部・企画部・オンライン部・警備部)が協力して芸術祭をつくりあげています。4月20日(火)20:00よりZoomにて執行部オンライン新歓を開催予定。
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