学生と大学の間に橋を架ける縁の下の力持ち

学生の学内展示を実現させたりサークル活動を円滑に行えるようにしたり、さらにはコロナ禍での学費減免の嘆願をしたりと、ムサビ生たちが充実した学生生活を送れるように人知れず奔走する武蔵野美術大学学生協議会。自らも学生生活を送りながら学生たちの頼れる相談窓口となっている、会長の金子武史さんにお話をうかがいました。

2021年度 武蔵野美術大学学生協議会
会長 金子武史さん(建築学科3年)


——金子さんが学生協議会に入ろうと思ったきっかけや動機を教えてください。

金子武史さん(以下、金子):まず自分が入学した建築学科だけではなく、他の学科の方とも関わりを持ちたいという思いがありました。それから、学生協議会の活動を初めて見たのは入学直後の「大新歓」だったんですが、それまで自分がやってきた中高の生徒会などの活動よりもすごく大きな規模で、自分もこういうことに携わりたいと思いました。

——大新歓は学生協議会の活動の中でも最も大きなイベントですよね?

金子:はい。そのときは、ゼロスペースの下の大きな空間を丸ごと使って開催していました。各サークルのブースで活動風景や作品の展示があり、それを新入生が見て先輩たちと交流するような感じでしたね。企画運営をしていた学生協議会の方たちが全員ピンクの法被を着て活動していたのも印象的で、大新歓の会場で当時の会長に「協議会の活動に興味があるんですけど」って伝えて、すぐに学生協議会に入りました。

——高校までの生徒会などの経験が活かせるという思いもありましたか?

金子:正直なところ、僕は最初はこの大学が怖かったんです。もともと一般の高校で野球部で過ごしてきて、入試もデッサンなど実技ではなくセンター試験だったので、美術系の大学に入学して少し心許ない感じがありました。それで全く新しいことに挑戦するよりは、自分がやってきたことの延長線上で、なおかつそれまでよりもレベルの高いことをやりたいと思ったというのがあります。

——コロナ禍で活動自体が難しいところもあったと思いますが、学生協議会では具体的にどういう活動をしてきましたか?

金子:学生協議会は学生と大学との間にある架け橋のような組織として活動していますが、僕の在任期間中はやはりコロナ禍という状況が大きく活動に影響していました。2020年からは入学式もオンラインで、本来は僕たちのいちばん大きな仕事である大新歓が行えませんでした。サークル管理などの従来の活動もほとんどなかったのですが、特徴的な大きな仕事が2つありました。まず、2020年の春は感染症拡大の影響で新学期が5月半ばからのスタートになったんですけど、それによる学費減免の嘆願書を有志と連携して大学に提出しました。また、休学したいけど休学費が高すぎるという意見が学生からあがり、それについては全校生徒に向けてアンケートをとり、意見をまとめて大学に提出しました。

——全ての学生を代表して大学側と協議するというのは責任を伴う仕事ですが、プレッシャーはありませんでしたか?

金子:そうですね。学生協議会には学生だけではなく保護者や全く知らない外部の方からも意見や要望が届くので、そのさまざまな声をちゃんと届けないといけないということにはプレッシャーを感じていました。また学生協議会は現在12人のメンバーで活動していますが、その内部の意見の取りまとめやスケジュール調整も含めて、責任感をともなう仕事だったと思います。

——金子さんご自身も学生生活の当事者でありながら、ほかのたくさんの学生の要望を取りまとめていくという活動へのモチベーションはどういうところにありますか?

金子:やっぱり感謝されるというのは嬉しいですね。学費減免の嘆願書を出したときに、提出に向けて一緒に活動していた有志の学生が、「学生協議会がいなかったらここまでたどり着けなかった」といってくれたことがありました。その言葉で僕たちが活動する意義を再確認できましたし、僕自身にとっても大きな活力となりました。

——学生協議会での会長としての活動を、ご自身ではどう捉えていますか?

金子:学費などについて大学と協議するというのは誰もが経験できることではないので、この時期にそういう役割を担えたというのは、自分にとっては大きな経験ですし、ある意味ではラッキーだったんじゃないかなと捉えています。僕は建築学科ですが、さまざまな学科の学生からの意見をまとめていくうちに、自分と違う立場からも物事を考えられるようになったということも感じています。これから就職して仕事をしていくなかでも、自分だけではなく周りを見て、たとえば設計チームのメンバーの意見をまとめるようなことにこの経験を活かしていきたいです。

——大学側に意見を伝えて橋渡しをしてくれる学生協議会の存在は、学生が大学生活を充実させるうえでとても重要ですね。

金子:その通りだと思います。やっぱり学生が大学側に対して1人で声を出してもなかなか大きな動きにはつながらないということが、学生協議会の活動を通してよく理解できました。美大では特に作品を展示したいという思いを持つ学生も多いので、そういう従来の学生生活もサポートできるように、学生協議会がその意義を全うしていく必要があると考えています。僕は今年の夏頃には引退ですが、それまでに後進を育成して学生協議会が学生全体から認識され頼りにしてもらえるような団体にしていきたいです。

——新入生に向けて一言お願いします。

金子:学生協議会は学生による団体です。裏方というイメージが強いかもしれませんが、ムサビ生の学生生活をよりよいものにするため大学に働きかけるなど、やりがいの大きい活動です。また協議会にはさまざまな学科のメンバーが在籍しており、いろんなサークルや大学職員、学生生活チームなどとも連携しながら関係性を築いていけます。まずはできる範囲からでも、僕たちの活動に参加していただければ嬉しいです。興味のある方はTwitterやメールでご連絡いただければと思います。


【武蔵野美術大学学生協議会】
学生が主体となり学生生活をより良いものにしようと働きかける学生有志団体。
大学と学生の架け橋として、学生からの要望を取りまとめ大学と交渉したり、オープンキャンパスにおける受験生対象の相談会を開くほか、学生企画の支援、サークル・部室の管理、そして新入生と大学内の有志サークル・団体の最初の接点となる「大新歓」の企画・運営をしています。
Twitter:https://twitter.com/maugk
E-MAIL:mau.kyougikai@gmail.com